みなさん、”更年期ロス”という言葉をご存じですか?
更年期症状によって仕事に何らかのマイナスの影響があった人を”更年期ロス”とよびます。
更年期の症状は、心身に影響するものだけではありません。
仕事を辞める、労働形態が変わったなど、自身のキャリアにも何らかのマイナスの影響を及ぼすこともあるのです。
今回は、更年期ロスによる経済損失について、ご紹介します。
働く女性およそ3000万人のうち、45歳から54歳の「更年期世代」はおよそ4分の1を占めるといわれています。
その中で、更年期症状によって仕事に何らかのマイナスの影響があった”更年期ロス”の影響を受けた人は、推定で100万人を超えるとされています。
”更年期ロス”の内訳としては、多い順に下記があります。
・仕事を辞めることを検討
・仕事を辞めた
・労働時間、作業量の減少
・人事評価が下がった、降格
更年期ロスの中でも、離職により収入が減ったことなどによる経済損失は男女合わせて年間およそ6300億円に上るといわれているんです。
更年期ロスを経験する人の中で、仕事を辞める、もしくは辞めることを検討している人が挙げる理由として、下記が上位にあります。
・仕事を続ける自信がなくなった
・職場に迷惑がかかると思った
更年期症状を、自分のせいだと考える人が多いそうです。
更年期症状は、決して自分のせいではありません。
さらに、更年期ロスは当事者ひとりの問題ではなく、職場や周囲の対応に原因があるのではないでしょうか。
更年期を原因とした、下記を訴える人も少なくないといいます。
・からかわれたり軽くあしらわれたりした
・嫌がらせやハラスメントを受けた
更年期ロスを減らすには、職場や周りの配慮が必要不可欠であることがわかります。
更年期を経験している人の中には
「職場の人には知られたくない・自分ひとりの問題にしておきたい」という人がいる一方で、「職場の誰もが更年期症状や対処法について理解できる研修(職場の全員への研修)」を望む声も多くあるようです。
更年期症状は適切な治療を行えば緩和し、仕事を辞めなくてもすむことがほとんどです。
ある調査では、更年期の症状を経験した人のうち、婦人科を受診した方は全体の3割程度だったといいます。
さらに、更年期症状が原因で問題を抱えたとき 相談する相手として同僚が挙げられる一方で、誰にも相談していないという方が全体の6割にも上るという調査結果もあります。
更年期の症状は、ホルモン補充療法や生活習慣の改善などで緩和できることがほとんどです。
身体の不調を感じたら、自分だけでは悩まずに一度婦人科の受診を視野に入れてみてください。
更年期ロスを防ぐためには、どのような対策をすればよいのでしょうか。
ある調査の結果では、下記の回答が多く挙げられています。
・育児休暇や生理休暇の使いやすさ
・休んだときの収入補償
・治療の経済的支援
また、婦人科の受診を薦めるなどのサポートも更年期ロスへの対策にあげられるのではないでしょうか。
これらに共通して言えることは、周りのサポートの必要性です。
更年期ロスを防ぐためには、相談しやすい環境づくりや制度の導入など
周りのサポートが更年期ロスを防ぐ第一歩だといえます。
いかがでしたか?今回は、更年期ロスによる経済損失についてご紹介しました。
女性であればだれにでも起こる更年期。
共働きがスタンダードになりつつある現代では、更年期ロスを防ぐことが今後さらに重要になってくるのではないでしょうか。